偶然にも、先日読んだ辻村さんの「島はぼくらと」と同じ瀬戸内海に浮かぶ島が舞台の話。
あちらは冴島、こちらは白綱島。
どちらも架空の島である。
その白綱島で起きる6編の短編集。
湊さんの本を読むのは1年ぶり・・かなぁ。
珍しく図書館で出会った未読な本。
見つけて思わず飛びついてしまった。
なんだかボケててすっかり忘れていた。
湊さんの本はとても面白いのだが、毒があり過ぎていつも読後は不愉快な気持ちになるのだった。
でも、この本は少しソフトかな。 今までのと比べると。
あぁ・・よかった・・なんて思えた話もあったりして。
「みかんの花」
そうだよ、これも忘れてたんだけど、湊さんの作品は基本ミステリーなんだよね。
だから、殺人の話なのよ。
きたよ、最後に。
そういうことだったんだぁ・・と納得したら、またもののみごとにひっくり返された。
こういうのも湊さん得意のパターン。
そして、真実は重い。
『俺は真実を知りたいだけだ』・・by MOZU。
あ、全然関係ないね。(笑)
ということで、実に後味悪い話だった。
「海の星」
白いユリの花束なんてヘンだと思った。
だから死者への手向けだよ、ユリは。
でもさ、いくら面倒でも引き上げたものを海の戻すってのはどうよ。
絶対ダメでしょ。 人間だよ! ゴミじゃないんだよ。
それと、最後まで海の星の現象の解説がなかったんだけど・・なんだったの?
どうせ私は文系だから、聞いてもあまり理解できないんだろうけど。
「夢の国」
ドリームランドって、ディズニーランドのことですね。
東京から離れた土地に住む子供にとっては憧れの夢の国よね、ホント。
一番最初に行った時は、私も感動したよ。
で、この祖母! イライラしっぱなしだった。
私なら絶対出ていくね。 お母さん、偉いよ。 よくおかしくならなかったね。
だから、祖母の最期は・・胸がすっとした。 でかしたと思った。
そして、一緒にいた夫が彼だったとは。 なんか嬉しかったな。
これ、ラストはちょっと心なごんだ。
「雲の糸」
もう、ヒロタカくん、人が良すぎでしょ。
的場の野郎、調子に乗りやがって。 むかつき極まりない。
ゲロをぶっかけてやって、マジにスッキリ。 いい気味だ。
でも、人殺しの子供が歌手にねぇ・・ちょっとありえない設定かな。
まぁ、小説ですからね。
で、心がズキズキ痛むような幼い頃のひどいエピソードがエンエン続いた最後は一体・・?
よかった。 ほっとした。 救われた。
「石の十字架」
台風って怖いね。
私はマンションの6Fに住んでるから全くひと事だけど、島の一軒家は大変だわ。
読んでて息が苦しくなってきた。
めぐみの家庭事情はどんなんだろう・・?
もっと悲惨なのかなと思ったんだけど、大したことなかったような。
でも、子どもにとっちゃ重大か。
それがイジメの原因になったんだしね。
疲れてる人に「がんばって」は、ナイフになる・・確かに。
むずかしいよね。 でも、他に言葉がないんだよ。
まためぐみと仲良くなれるといいね。
もう大人だし、いいお付き合いが出来ると思う。
「光の航路」
なに、いい話じゃない。
確かに壮絶なイジメの描写はあるけど。
先生がすごいね。 ちゃんと原因を突き止めて、問題を解決した。
大したもんだ。
それに比べて息子よ・・。 モンペに全く立ち向かうことも出来ない。
今はそういう時代なのかしらね。
でも、教え子の話を聞いて、最後はとても前向きな形で終わった。
湊さんらしくないな。(笑)
でも気分的によかったから、いいでしょう。