なかなかインパクトある表紙である。
ちょっと苦手系かな・・と思ったのだが、意外にも面白かった。
突然父に出て行かれた一家の話。
5章に分かれていて、「十四歳」は、二男のケイ、「十七歳」は長女のカナ、「二十七歳」は長男のリュウ。
そして「四十二歳」は母親の薫、「七十三歳」はお爺ちゃん。
それぞれが語り手となって、話が進んでいく。
とにかく、みんななんだか何もかもがうまくいかないんだよね。
こっちの気分が落ち込むくらい。
本人たちも、クヤシイと思いながらもどうにもできず、モンモンとしている。
でも少しずつでもなんとか現状打破しようとする。
そんな心の葛藤の描写がうまいと思った。
この作家さん、男なのにビミョーな女子高校生の気持ちとかよくわかってるよねぇ。
まだまだ子供のくせに、チョー生意気盛りの中坊とかも。
ラストにいくに従って、実はこの家族が複雑な関係だということがわかる。
尋常ではない父親と母親の馴れ初めとかも。
とても苦労したお爺ちゃんの話も悲惨で驚いた。
そうそう、リュウの話に出てくるサブローさん。
日本人として大変申し訳なく思ってたら・・な、な、なんと。 やるじゃないの。 同情して損した。
結局父親は帰って来ないのかねぇ。
いなくなったように、ある日ふらっと戻ってくるのかもしれないけど。
その時は、全くバラバラだった家族がまとまってて、さぞや驚くだろうね。(笑)