またまたのりちゃにお借りした本です。
「凍花」と同じ作者さんですね。
これもまた読みやすくて、一気にラストまでいってしまった。
この本は「千の花になって」という題名だったが、後に「踏んでもいい女」に改題された。
なんで改題したのかな?
ま、「踏んでもいい女」って方がインパクト強いか。
舞台は昭和十九年。
やだ、戦時中の話じゃん。 戦争の話って悲しくなるから嫌いなのよね。
でも悲しみを感じさせるところはそれほどなかった。
主人公は真砂代。 十九歳。
家は銭湯を経営している。
取り立てて美人でもなく、見栄えのしない容姿。
そこら辺の雑草のように、踏んづけたって全然構わない女ってことね。
そこまで自虐的にならなくてもいいと思うけど。
真砂代が見合いをした男、芳史がずっと思い続けてる女、貴子。
貴子は美人ではないのだが、独特の雰囲気を持ち、個性的で魅力ある女性。
そんな彼女に惹かれた真砂代は、家の掃除をするという契約をして、家に上がり込むようになる。
たった1人で大きな家に住み、絵を描き続ける彼女は一体何者なのか?
どうみてもワケあり。
この話、なんとなく雰囲気が中島京子の「小さいおうち」に似てますね。
奥様と貴子がちょっとかぶる。
いつも洒落た服を着て、姿勢がよく凛として、真砂代の憧れである貴子。
私も彼女に会ってみたくなった。
結局、後で偶然会った掃除のおばさん(貴子の家の)に彼女の正体を教えてもらうんだけど、
それほど驚く内容ではない。
でもまぁ、「なるほど、なるほど、そういうことか・・」と納得させられる。
全く意外性がなかったわけではないけどね。
とはいえ、後半になってくると、なんとなく想像出来てくるというか。
真砂代のおじいちゃんである虎吉の人柄が、とてもいい。
石鹸と変えた野菜を、通りすがりの子連れの女性にあげちゃったところなんか、感動しましたねぇ。
実にいい話だ。
芳史の最期はやっぱり悲しかった。
だから、戦争ものはイヤなのよ。 お母さん、気の毒だった。
義兄の信郎だってさ・・結局・・。
あの頃の日本は狂っていましたからね。
私の今の時代に生まれてホントよかったよ。
で、この本の表紙の絵。
内容と全然違う感じがするんだけど、どうよ。
表紙と題名見ると、人生何をやってもうまくいかないOLかなんかの話かと思うよね。