先日、図書館の休館日の前日に急いで読んだ長編がこれ。
メジャーで測ってみたら、本の厚みは約3センチ。 読み応えありました。
主人公は元医者なのにホームレスの生活を送る中年の男、日高英介。
彼の周りで起こる殺人事件のミステリー小説である。
この日高さん、幼い息子がインフルエンザから脳症を発症し、手遅れで亡くなってしまった。
様子がおかしくなった息子を、妻が車で病院を探している3時間の間にもう救いようのない状態に・・。
夫である日高に診てもらいたいと妻が電話で訴えたのに、大学病院の多忙な勤務医であった彼は
診てもらえる病院を自分で探せと突き放した。
そして、亡くなった時妻を「どうして救急車を呼ばなかったんだ!」と怒鳴りつける。
これね、思わず怒鳴りつけてしまった夫の気持ちもわからないではない。
もう、どうしようもなく気の毒と思うことしか出来なかった。
そんな妻も自殺。
自分の患者も亡くしてしまう。 これは彼のミスではないんだけど・・。
こんな状況で、人生に疲れたというか、もうどうでもよくなってしまい、ホームレスになる。
いやいや、医者ですからね、大学病院に勤める脳外科医だし、もったいないにもほどがある。
ま、他人のことだから、こんな風に言えるんであって、本人にしたらそんなのはどうでもよくなるんだろうね。
家族もいないし、これから生きていく希望なんか微塵もないのだから。
で、日高には昔変質者から小さな男の子を救ったという過去がある。
この男の子、真人が成長し、いずれ偶然に出会うことになる。
その変質者の事件で、真人の母親は病んでしまう。 あ、犯人の父親の自殺がきっかけだけど。
自分はこの子を助けなければよかったのか・・とあとから、日高は何度も悔やむことになり・・。
真人の近所の人たちが、何人も殺されていく。
私も、だんだんすべて真人が・・?と思うようになってきた。
だって、そういう風に話が進むから。 すっかり疑ってしまったよ。
でも結果的に違うんだけど。
富士子とアオさんを殺した犯人は、意外でした。
ちょっと想定外で、あらら、そうだったんだ・・と驚いてしまった。
それにしても、ホームレスって冬に外で寝て凍死しないんだろうか。
日高みたいに寝袋とかあればいいんだろうけど、段ボールのお家で大丈夫なのかね。
寒さって慣れるのかしら。 皮膚が厚くなる? 風邪を引いて、あげく肺炎とかならない?
しかし、ホームレス撲滅委員会って・・。
無抵抗な彼らに、そんなことして楽しいんだろうか。 ひどい。 人間じゃない。
悲しい事件が続いて、暗澹たる気持ちになるが、最後だけ少し望みのある温かい気持ちになれた。
生きていてもいいのだよ。 がんばれ、真人。 日高もね。 前を向いて人生歩んで欲しい。
この本、昨日までBSプレミアムでドラマやってましたね。
日高は谷原章介。 谷原さん、このホームレスの役をやるんで、9キロ減量したんだと。
確かに、ずいぶん痩せてましたよ。
実は、ドラマ化されることを知らなくて、昨日の最終回だけ観たんですけどね。
でも、だいぶ原作と違いましたね。
夕子も助からないし、犯人の村井なんか全然出てこないし、山岸は退職しちゃうし、ラストの「お医者さんは
いらっしゃいませんか?!」なんてないしね。(笑)
さ、これから図書館へ行ってきます。 明日は休館日だっしぃ。^^;