まさに題名通りハッピーエンドではない11話の短編集である。
なので、ラストはどれも救いようがない暗い話ばかり。
でも、なかなか読みごたえがあった。
気に入ったのは、「おねえちゃん」と「死面」と「In tha lap of tha mother」と「尊厳、死」かな。
歌野さんはミステリー作家なので、最後におっ!そうきたか!と予想を裏切る展開が待っていたりする。
「おねえちゃん」は誰か? 理奈がそれを知っていたら・・。
後の祭りだけどね。 理奈はこのまま病院送りなのかな。
「サクラチル」は、なんだか気の毒な話で。
東大あきらめて、早稲田か慶応に入っていればよかったのに。
それも無理か。 なにがなんでも東大だったんだよねぇ。
「消された15番」は、なんとなく気持ちわかるっていうか。
母親にとって、たった1人の大事な息子だもんね。
最後の晴れ舞台。 「諒承できない!」・・確かにその通り。
ケイちゃん、今どこにいるんだろうねぇ。 会いにいってあげて欲しい。
「死面」、語り手の小学生の男の子。 実は彼は今・・。
最後にびっくり。 幸子の怨念がこういう結果を生んだんだね。
しかし、遊ぶ金欲しさに殺すか? 情けない奴だ。
「防疫」、教育ママがここまでエスカレートしてしまうと・・。
なんだか、ずっと由佳里ちゃんが可哀想だったんだけど、まさかまさかの結末で。
ああいう母親って実際いるんだろうね。
そりゃ、他人と比べて、自分の娘が優秀でいて欲しいと願う気持ちはわかるけど。
しかし、由佳里は絶対子供産んじゃいけませんね。
っていうか、彼氏引くよね。 あんな話されたら。 絶対結婚できないよ。
「玉川上死」は、まさかの犯人だった。
秋山くん、頭いいよ。(感心してどうする) 完璧なアリバイ工作だね。
でも、バレたか。 残念でした。
これもまた、後味の悪い最後で。
「殺人休暇」、これ、最後の敏江のひとことはどういう意味?
実は戸部は死んでないとか? ちゃんと死んだんだよね?
敏江はまさか死ぬとは・・なんて思ってたのかな。
いずれにしても、戸部は異常だから、いなくなってくれて正解でしょう。
でも、胸は痛むよね。 お姉さんに生き写しかぁ。
そういう事情があったことは、同情してあげるよ。
とはいえ、エキストラを雇うとか、とても用意周到で賢い策に感心。 やるねぇ。
「In tha lap of tha mother」、このlapの意味は膝。
車の中に置きっぱなしとかではなく、自分の膝の上に座らせていたのに・・。
朝から何も食べさせてないって、ひどい話。
夕方4時まで6時間もやり続けってすごい。 で、全く気付かなかったの?
コワイねぇ、パチンコって。 バカな母親だ。
「尊厳、死」、これも最後のひとことに意表を突かれた。
あらら、すっかり勘違いしてたよ。
フジエダさんも悪い人じゃないんだけどねぇ。 かなり自己陶酔型でしたね。
まぁ、ホームレスにもそれぞれ事情があるんだろうけど、やっぱり近くにいたら私も眉をひそめちゃうな。
でも襲撃は以ての外。 相手は無抵抗なんだから。
こんな感じで、最後までアンハッピーな話が続く。
さすがに気が滅入りましたね。